「核ごみ」に関する首都圏周辺自治体アンケート結果発表―あなたの住む自治体に注目!

この度、特定非営利活動法人A SEED JAPANと関東学院大学社会学部湯浅陽一研究室は共同で、下記アンケートを実施いたしました。

全体として、関心が低い一方で抵抗感も強いという傾向がみられました。この問題は国が中心となって取り組むべき課題であり、まだまだ具体化していないとの認識を持っている自治体も多い。他方、そのような時点で、適地がないことなどを理由に明確に「受け入れない」としている自治体が4分の1を超えました。また、説明会に参加しない選択をした自治体の中には、「東日本大震災の放射線廃棄物を処理中のため、新たな負担は考えられない」「市町村レベルで対応できる案件ではない」といった回答もみられ、そこからも、放射性廃棄物処理に対する抵抗感がうかがえます。他方、交付金等の支援策に関心を示した自治体が4つあったことも注目に値しますが、現状では文献調査の受入れなどの具体的なうごきはみせていません。

科学的特性マップにおいて最終処分場立地の可能性がある一部の自治体では対策として、まずは情報収集を行い始めていることがわかりました。しかし本件に関して、自治体向け説明会へ参加した自治体は半数以下でした。さらに7自治体が「開催を知らなかった」旨の回答をしています。そして、ほとんどの自治体が住民への説明や何かしらの対応を未だ行っておらず、岐阜県、岡山県、北海道 などと比べると意識の低さがうかがえる結果にもなりました。

ご協力いただきました自治体の担当者の皆様に、感謝申し上げます。


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【調査概要】

1.目的

(1)2017年7月に示された科学的特性マップ提示後、自治体・市民・議員など地域を取り巻く主体にどのような動きがあったかを確認する事。

(2)自治体に受け入れの意向の有無を確認する事。

(3)電力消費者である市民が高レベル放射性廃棄物最終処分問題を考える契機をつくる事。

2.調査方法

郵送によるアンケート。

3.調査対象

科学的特性マップにおいて、「好ましい特性が確認できる可能性が相対的に高い地域」あるいは「輸送面でも好ましい地域」に該当している地域の自治体(249自治体)。

東京都(42自治体)、神奈川県(28自治体)、千葉県(24自治体)、埼玉県(55自治体)、茨城県(43自治体)、群馬県(25自治体)、栃木県(25自治体)、各都県庁(7自治体)

4.調査期間

2017年11月14日~2018年2月28日

【集計結果概要】

7つの都県庁からはすべて回答が得られた。市区町村からは、242自治体のうち148から回答を得た(全体の回収率は62%、市区町村のみでは61%。2018年3月24日現在)。

都県別にみた市区町村からの回収数は、東京都が42自治体中17(40.1%)、神奈川県が28自治体中22(78.6%)、千葉県が24自治体中16(66.6%)、埼玉県が55自治体中36(65.5%)、茨城県が43自治体中29(67.4%)、群馬県が25自治体中11(44%)、栃木県が25自治体中17(68%)である。


【結果概要】●サマリー版pdfはこちらから!●

Q1.自身の自治体が科学的特性マップにおいて「好ましい特性が確認できる可能性が相対的に高い地域」あるいは「輸送面でも好ましい地域」に該当していることを知っているかどうかについては、都県庁はすべて「知っている」とした。市区町村のうち「知っている」は99自治体(66.9%)、「知らなかった」は48自治体(32.4%)となった。

Q3.これまでに、高レベル放射性廃棄物の受け入れに関連して行なってきた対策や議論はあるかという質問に対しては、内部勉強会の開催や関連施設の見学、条例の制定、事業者・市民からの問い合わせへの窓口設置などの取り組みを行なった自治体は、都県と市区町村を合わせて12(7.7%)にとどまる。「その他」に記載された分も含めて、取り組みの状況は以下のとおりである。

Q5.科学的特性マップの提示を受けた市民への説明については、都県庁含めた149自治体(96.1%)が、「行う予定はない」としている。未定とした自治体が2つあるのみで、説明会を実施した自治体はなかった。

Q6.自治体としての高レベル放射性廃棄物もしくはその他の廃棄物の受け入れに対して、「受け入れを検討したい」と回答した自治体はなかった。「受け入れない」と回答した自治体は、都県と市区町村を合わせて43(27.7%)であり、「わからない」が50(32.3%)、51「答えられない」(32.9%)となった。「受け入れない」と回答した自治体を都県別にみると、東京都内が1、神奈川県内が6(県庁含む)、千葉県内が7、埼玉県内が12、茨城県内が9、群馬県内が3、栃木県内が5となった。都県庁で「受け入れない」と明言したのは神奈川県のみであった。「受け入れない」とした自治体のうち、26がその理由を記入している。そのうち、「対象地がない」「町域が狭い」「住宅地が多い」等、立地点として適地でないとするものが16あった。また、「市民の理解は得られない」「住環境に多大な影響を与えるため」等、市民理解や環境への影響を理由としたものは10あった(重複回答あり)。

Q7.交付金などの地域支援策に「関心がある」と回答した自治体は、4市町であった。都県庁と市区町村を合わせて、「関心はない」としたところは53(34.2%)、「答えられない」が95(61.3%)であった。4市町においても、文献調査に手を挙げる等の具体的な検討はまだ行っていないとのことだった。

Q8.2017年5月から6月にかけて実施された自治体担当者向け説明会に「参加した」自治体は、都県庁と市区町村を合わせて68(43.9%)、「参加していない」自治体は85(54.8%)となった。説明会に参加した自治体のうち、その結果を担当部署ないで共有したのは5、上司ないし首長、あるいはその両方に報告したのは61となった。

Q9.今後、科学的特性マップに関する自治体向け説明会が開催された場合に、参加の意向が「ある」としたのは都県庁と市区町村を合わせて73自治体(47.1%)、「ない」が24(15.5%)、「答えられない」が55(35.5%)となった。

本アンケートに関するお問合せ先

特定非営利活動法人A SEED JAPAN

〒110-0005 

東京都台東区上野5-3-4 クリエイティブOne秋葉原ビル7F

E-mail:info@aseed.org

TEL:03-5826-8737

関東学院大学社会学部湯浅陽一研究室

〒236-8502 

横浜市金沢区釜利谷南3−22−1

核ごみプロセスをフェアに!

商業用原発が稼働してから60年の間に、約18,000トンの”使用済み核燃料”が排出されました。これまでの処分場誘致のプロセスは決して民主的なものとは言い難い結果です。そんな中、経産省は、2017年度中に高レベル放射性廃棄物の処分地に適した地域をマッピングして、公表する予定です。そこでA SEED JAPANでは、「公正なプロセス」とは何かを探るため、草の根のプロジェクトを立ち上げました。

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