【東京rep】原発のゴミに関する全国意見交換会を開催しました
A SEED JAPANは2017年8月30日、全国各地の活動家をお呼びして、全国意見交換会を開催しました。北海道、青森、東京、大阪、岡山、三重、鹿児島等から27名が集まりました。その模様をお伝えします!
全国各地から27名が集結
高レベル放射性廃棄物処分場の「科学的特性マップ」が7月末に公示されました。原発のごみ問題を広く国民に知ってもらう事が目的のこのマップですが、使い方によっては原発のごみ問題を「立地問題(どこに処分場をつくるか)」に矮小化してしまう危険もあると考えます。
その一方で、30年以上にわたり各地で続く核ごみ拒否運動の歴史と成果は、まだ十分に知られていない側面があります。そうした状況を踏まえ、「核ごみ問題」にまつわる各地の取り組みを知り、様々な問題を整理し、そして今後の戦略へとつなげていくための意見交換を行いました。
各地からの報告―拒否条例は増え続けている
第一に注目されるのが、科学的特性マップ提示をどう見るか、という点です。核のごみキャンペーン・関西の末田一秀さんは、科学的特性マップについて「地層処分が可能だということを国民に示すために、かなり基準を緩めて国民に発表している。しかし実際には、適地とされている箇所の輸送ルートに課題があったり、火砕流の発生可能性を考慮していなかったりするなど、科学的とは言い難い」と、疑問を呈しました。
一方、脱原発をめざす首長会議の上原公子さんはマップの科学性を批判しつつも、「マップが提示されたことで、原発立地地域以外の自治体も『当事者』となった。これをチャンスにし、各自治体に拒否条例を制定する流れを作っていきたい。」と語りました。
岡山県の西江清吾さんは、県内の全28市町村の首長から「高レベル廃棄物地層処分場を拒否する」との回答を得ている事例を報告。その他に、議会への働きかけも重要だと指摘しました。
北海道釧路市議の宮田まどかさんは、「放射性廃棄物受け入れの拒否宣言は釧路市長もしているが、沖縄(米軍基地建設)の事例等をみると、拒否条例を採決した後も議会で質問をし続けることが必要」と話しました。
また、原子力関連事業と核ごみの関係性について言及する発言もありました。再処理工場やフルMOXの大間原発の稼働を止められるか否かで、高レベル放射性廃棄物以外の廃棄物の量や種類が変わってくるためです。
こうした各地の事例に対して、今後の戦略として各自治体の拒否権を明示するための方策を議論しました。特に、マップを受けて自治体や議員へのアンケートを行い、問題を周知させ当事者意識を持たせることの重要性が話されました。
地域の拒否権と回収可能性は条例で担保されるのか
一方、この会の前日に「核ごみに関する政府との会合(主催:核ごみ問題研究会)」が開催され、地域の拒否権と廃棄物の回収可能性について伺いました。
その際、経産省は「拒否条例のある地域への調査申入れは行わない」と答弁しましたが、回収可能性が本当に担保されるのかについては「法的には回収できる」と言うものの、その技術的根拠については明言しませんでした。実際に地域の拒否権や回収可能性が法的・技術的に担保されるのか、各地域から国に質問を投げかけることも重要かもしれません。
今後も、全国の核ごみ問題を恒常的に議論する場を作りたいと考えています。
「どうする原発のごみ」は自分たちに問われる
さて、仮に、適地とされたすべての自治体が受入れ拒否を宣言し、原子力政策が変わるとき…恐らく市民運動自らが、「今ある核ごみをどうするか」を正面から問われる日が来るでしょう。その日のために、先人に学びながら私も議論とアクションを積み上げていきたいと思います。
最後に、遠方から、またご多忙の中、お越しいただいた皆様にこの場を借りて感謝申し上げます。ありがとうございました。
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