【岡山rep】「自己決定権」としての核ごみ問題- 上原公子氏(‐脱原発首長会議事務局長)

2017年6月3日~6月4日に開催された「どうする原発のゴミ 全国交流会 ―高レベル放射性廃棄物の最終処分」。2日目のパネルディスカッション、脱原発首長会議事務局長の上原公子さんの講演内容をまとめました。


最終処分問題は、原発立地自治体だけの問題ではない

原発は、極めて財政力の弱い地域に立地してきた歴史的経緯がある。首長会議では、それを跳ね返すという意味で、自治体の自己決定権を強調して意見を言うということを主に行ってきた。

避難計画は30km圏内UPZの自治体が作るとことになっているが、実際に福島原発事故を経てみると、今まで考えていた避難計画では住民を守れないということが判った。さらに立地自治体のみならず、周辺地域も自己決定権を持つべきという話を中心にしてきた。自己決定権を法的にどう担保させるかも課題。

原発に関してはUPZ圏内の自治体が主に関心を持っているという状態だが、最終処分場問題は他のすべての自治体が責任をもつべきものであるため、全国で勉強会を開催している。

これまでの原発問題は立地自治体中心であり、周辺自治体が知らないうちに決められてしまう事がある。しかし、地層処分を前提にするとでは地下水によって放射性物質が拡散する恐れがあるため、そうなると周辺自治体も関わってくる。したがって、「立地自治体」のみの問題にさせないことも必要。


各自治体が「自己決定権を持つ」という事の重要性

昨年の11月と今年の4月に、核ごみについて学習会をした。また、原子力市民委員会に、核ごみ拒否条例を有している全国自治体のデータをまとめていただいた。

条例で、ある程度歯止めをかけられる根拠を持つという点で、条例の設定はよい手法。それが現在、全国20か所にあることが判った(2017年6月現在は、合併があったため19か所)。

そして最初にその条例をつくったのが岡山だった。この歴史は全国の力になる。条例を作ることは自己決定権なのだということを、今後も首長会議として主な活動にしていく。


解決手段を自分たちで見つけていこう

拒否条例をつくるのは重要だが、難しいことは処分場を「作らなくていい」というわけにはいかないこと。作る必要はあるのだが、技術発展に有する時間や議論が必要。知らないうちにどこかに決まった、ではなく、拒否条例を一つの火種にして、最終的に処分地という問題を解決するために大いに議論する必要性がある。

地層処分以外にも様々な方法論があるので、自分たちの自治体で、主権者としてきちんと問題提起しながら、解決手段を自分たちで作ろうという運動を皆さんと目指していきたい。



核ごみプロセスをフェアに!

商業用原発が稼働してから60年の間に、約18,000トンの”使用済み核燃料”が排出されました。これまでの処分場誘致のプロセスは決して民主的なものとは言い難い結果です。そんな中、経産省は、2017年度中に高レベル放射性廃棄物の処分地に適した地域をマッピングして、公表する予定です。そこでA SEED JAPANでは、「公正なプロセス」とは何かを探るため、草の根のプロジェクトを立ち上げました。

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